こんにちは。神奈川県(横浜市・川崎市)の介護事業所の立ち上げ・指定申請を専門にサポートしている、行政書士・社会保険労務士の山田です。
前回の第1回では、「自力で役所の手続きをやろうとしてスケジュールが1ヶ月遅れると、家賃や人件費で数百万円の赤字が確定してしまう」という恐ろしい現実をお話ししました。
「じゃあ、急いで準備を始めなきゃ!」と意気込む経営者様に、今日はお伝えしなければならない【最初の関門】があります。それが、デイサービスを運営するための「会社作り(法人設立)」に潜む落とし穴です。
デイサービスは「個人」では開業できない
まず大前提として、介護保険を使った事業(地域密着型通所介護など)は、個人事業主のままでは指定(許可)を受けることができません。必ず「株式会社」や「合同会社」「NPO法人」などの【法人】である必要があります。
そのため、新しく事業を始める方の最初のステップは「会社を設立すること」になります。 (※すでに別の事業で会社をお持ちの方は、その会社にデイサービスの事業を追加する「定款変更」の手続きが必要です)
最近はインターネット上で「格安で会社が作れる!」というサービスも増え、ご自身でパパッと法人登記を済ませてしまう方もいらっしゃいます。しかし、介護事業においてこれをやってしまうと、後から役所の窓口で「この会社では、デイサービスの指定は下ろせません」と突き返される悲劇が起こります。
最も多い失敗:「事業目的」の書き方ルール
会社を作るときには、「うちの会社はこういうビジネスをやりますよ」という宣言である【事業目的】を定款(会社のルールブック)に記載し、法務局で登記します。
ここで多くの方がやってしまう最大の失敗が、事業目的を「1.介護事業」や「1.デイサービス施設の運営」とざっくり書いてしまうことです。 一般常識で考えれば全く問題ないように思えますが、横浜市や川崎市をはじめとする行政の審査では、これらは「要件を満たしていない」として一発でアウトになります。
役所の審査を通過するためには、介護保険法という法律に則った【一言一句間違わずに指定された文言】を記載しなければなりません。
地域密着型通所介護(定員18名以下のデイサービス)をやるのであれば、 「介護保険法に基づく地域密着型通所介護事業」 という文言が、定款の事業目的にピタリと入っている必要があります。
間違えた場合のペナルティ(時間とコストのロス)
もし、事業目的の書き方を間違えたまま会社を設立してしまったらどうなるでしょうか?
「役所の窓口でペンで書き直せばいいんでしょ?」と思われるかもしれませんが、法務局に登録された公的な登記簿は、そんなに簡単に修正できません。
事業目的を修正するためには、再度「定款変更」の手続きを行い、法務局へ「変更登記」を申請する必要があります。これには登録免許税という税金が『3万円』も余計にかかります。 さらに痛いのは時間のロスです。登記の修正が完了して新しい謄本が手元に届くまで、約1〜2週間待たなければなりません。
第1回でお話しした通り、指定申請のスケジュールは常にカツカツです。この「事業目的の修正による2週間のタイムロス」が致命傷となり、オープン予定月が1ヶ月遅れ、結果的に数百万円の損害につながってしまうのです。

プロが教える裏ワザ:「未来の事業」も書いておく
私たち行政書士が会社設立や定款変更をサポートする場合、単に「地域密着型通所介護」と書くだけではありません。
「社長、将来的に訪問介護もやる可能性はありますか?」 「市町村の『総合事業(第一号通所事業)』も同時に指定を取っておいた方が売上が安定しますよ。その文言も入れておきましょう」 「自費のサービス(保険外サービス)も提供するなら、この文言も必要です」
このように、お客様の今後のビジネス展開(事業計画)をヒアリングし、将来必要になりそうな介護サービスの文言を【すべて最初から】定款に盛り込んでおきます。 こうしておけば、数年後に「訪問介護ステーションを併設しよう!」となった時に、わざわざ3万円を払って定款を変更する手間とコストを省くことができるのです。
これから会社を作る方、または既存の会社の定款を変更する方は、ご自身で法務局へ行く前に、ぜひ一度当事務所にご相談ください。
【初回相談でご用意いただくのは、以下の3点だけでOKです】
- 会社(法人)の登記簿謄本と定款のコピー(※これから作る方は不要です)
- 候補物件の図面(不動産屋のチラシで構いません)
- スタッフ候補者のメモ(資格の有無など)
これらを拝見し、定款の事業目的が役所のルールに合致しているかを無料でプレ診断いたします。貴重な時間と立ち上げ資金を無駄にしないためにも、最初の「会社作り」から介護専門の行政書士にお任せください!
(次回、第3回は「物件選びの最大の罠・200㎡の壁」について解説します。不動産屋の言葉を鵜呑みにすると大変なことになりますよ…)


