これまでの連載で「スケジュール」「定款」「物件」という3つの大きな壁を乗り越える方法をお伝えしてきました。 無事に物件の契約が終わり、内装工事の打ち合わせが始まると、いよいよ経営者様にとって一番の胃の痛くなるミッションがスタートします。
そう、「スタッフの採用」です。
「オープンしてから人を入れよう」は絶対にNG!
「最初は利用者さんも少ないだろうから、とりあえず自分(社長)と身内で回して、売上が立ってきたらスタッフを募集しよう」
他業種から参入された社長さんがよくおっしゃる言葉ですが、介護事業ではこの考え方は「完全にアウト」です。
なぜなら、デイサービス(地域密着型通所介護)を開業するための「指定申請」を役所に出す時点で、【基準を満たす人数のスタッフが確実に採用できている(雇用契約を結んでいる)こと】が絶対条件だからです。
横浜市や川崎市の場合、オープン予定月の約2ヶ月前には指定申請の書類を提出しなければなりません。その書類の中には「従業員のシフト表(勤務形態一覧表)」や「スタッフ全員の資格証のコピー」が含まれます。 つまり、オープン2ヶ月前には採用活動を終えていなければ、申請すら受け付けてもらえないのです。
採用活動は「オープン3ヶ月前」からスタート
逆算すると、採用スケジュールは非常にタイトです。
- オープン3〜4ヶ月前: 求人媒体の選定、募集開始(ハローワーク、求人サイトなど)
- オープン2ヶ月前: 面接・内定・雇用契約の締結(★ここで役所へ指定申請!)
- オープン1ヶ月前: スタッフの入社、オペレーション研修、消防訓練など
「求人を出しても全然応募が来ない…」と焦って、高い手数料(年収の20〜30%!)を取られる人材紹介会社に頼り、オープン前に開業資金が底をつきそうになる経営者様を何度も見てきました。 採用は、早め早めのスタートが命です。

「社労士」の腕の見せ所:離職を防ぐ労務管理
さて、なんとかスタッフを採用できたとしましょう。しかし、本当の戦いはここからです。 せっかく採用したスタッフが、オープン直前や直後に「やっぱり辞めます」と言い出したらどうなるでしょうか?
人員基準を下回ってしまえば、最悪の場合、事業をストップしなければなりません。 こうした早期離職の最大の原因は、「労働条件(給与や休み)の食い違い」です。
「面接の時に言っていた給料と違う!」 「残業代が出ないなんて聞いていない!」
このようなトラブルを防ぐのが、私のような【社会保険労務士】の役割です。 当事務所では、ただ役所に申請書類を出すだけでなく、以下の労務サポートを並行して行います。
- カッチリとした「雇用契約書」の作成: 口約束は絶対にNGです。基本給、手当、残業のルールなどを明確に書面化し、スタッフに安心感を与えます。
- 会社を守る「就業規則」の作成: スタッフが10名未満でも、介護事業所においてルールブック(就業規則)は必須です。突然の欠勤やハラスメントから会社を守る「防波堤」になります。
- 「処遇改善加算」を見据えた給与設計: 第1回〜3回でも少し触れましたが、後から国からもらえる「処遇改善加算」をスタッフにどう配分するか、最初からルールを決めておくことが定着率アップの鍵です。
さらに!採用で使える「助成金」の提案も
さらに社労士がついている最大のメリットは、「国からもらえる返済不要のお金(助成金)」の提案ができることです。
例えば、新しいスタッフを雇い入れて研修を行う場合の「人材開発支援助成金」や、特定の求職者を雇い入れた場合の「特定求職者雇用開発助成金」など、条件に合えば数十万円〜数百万円の助成金を受け取れる可能性があります。 (※助成金は「就業規則が整備されていること」などが条件になるため、素人ではほぼ申請できません)
まとめ:だから「ダブルライセンス」が強いんです
いかがでしょうか? デイサービスの開業において、「役所の指定基準(行政書士の領域)」と「スタッフの採用・労務(社労士の領域)」は、決して切り離すことができません。
当事務所なら、行政書士としてミリ単位で狂いのない指定申請を行いながら、同時に社労士として「スタッフが辞めない強い組織作り」と「助成金の活用」まで、窓口一つで一気通貫サポートが可能です!
採用に不安がある方、給与の決め方がわからない方は、ぜひ物件探しと並行して当事務所の「無料プレ診断・ご相談」をご利用ください。
(次回、第5回は「オープン直前の落とし穴・役所の現地確認(実地調査)」について解説します。)


