無事に物件の契約が完了し、採用のめども立ってきた。 「さあ、いよいよオープンに向けて、内装工事と家具の買い出しだ!お近くの大型家具チェーンやネット通販で、おしゃれな机とソファを揃えよう!」

……と、ウキウキでカタログを開いている経営者様、ちょっと待ってください!

家具や備品を発注するのは、役所に「図面(レイアウト)」を見せて、最終的なOKをもらってからにしないと、数十万円の備品代がすべてパーになる危険性があります

実は、デイサービス(地域密着型通所介護)には、一般常識では考えられないような「役所独自の謎ルール(設備基準)」が数多く存在します。今日は、特に横浜市や川崎市の審査で引っかかりやすい、代表的な3つの落とし穴をご紹介します。

落とし穴1:相談室は「カフェ風の丸テーブル」じゃダメ!?

利用者様やご家族と契約や面談を行う「相談室」。 「フロアの隅っこに、おしゃれな丸テーブルと椅子を置いておけばいいよね」と考える方が非常に多いのですが、これは役所の検査で一発NGになります。

役所が相談室に求める絶対条件は「プライバシーの保護(会話が漏れないこと)」です。 そのため、他の利用者から見えない・聞こえないように、以下のいずれかの対策をしなければなりません。

  • 天井まで壁がある完全な個室にする
  • 背の高いパーテーション(180cm以上など)で四方を完全に囲い、入り口にアコーディオンカーテンをつける

パーテーションの高さや隙間については、自治体(横浜市や川崎市)の担当者によって判断が分かれる非常にデリケートな部分です。事前に行政書士を通じて役所と協議しておかないと、「このパーテーションでは低すぎます。買い直してください」と容赦なく指導されます。

落とし穴2:静養室に「ふかふかのソファ」はNG!?

具合が悪くなった利用者様が休むための「静養室」。 「ゆっくり休めるように、ふかふかのリクライニングソファを置こう」というおもてなしの心は素晴らしいのですが、これも介護保険のルール上は認められません。

静養室には、原則として「ベッド」を設置する必要があります。 また、感染症対策の観点から、メインの機能訓練室(みんなが体操や食事をする部屋)とは、カーテンやパーテーションで「明確に空間を区切る」ことが求められます。ベッドの周りをぐるりと囲める防炎カーテンなどの設置費用も、あらかじめ予算に組み込んでおく必要があります。

落とし穴3:ただの棚じゃダメ!「鍵付き書庫」の罠

デイサービスでは、利用者様の氏名、住所、病歴、ご家族の連絡先など、超・機密情報の塊である「個人情報」を大量に扱います。

そのため、事務室に置く書類棚は、オープンラックやカラーボックスでは絶対に許可が下りません。必ず「鍵がかかる書庫(キャビネット)」を用意し、鍵の管理ルールを定めておく必要があります。 「とりあえず安い棚を買ってしまったから、後から南京錠をつければいいや」という後付けの対策も、見た目や安全性の観点から役所に難色を示されることが多いです。

「手洗い場」のペーパータオルとゴミ箱にもルールが!

さらに細かいですが、手洗い場(洗面台)の設備にも厳しいチェックが入ります。 感染症予防のため、スタッフや利用者様が手を洗った後は、共用のタオルではなく「ペーパータオル」を使うことが推奨されます。 そして、その使ったペーパータオルを捨てるゴミ箱は、手でフタを開けるタイプではなく、「足踏み式のフタ付きゴミ箱」であることが求められたりします(これもローカルルールで厳しく見られるポイントです)。

まとめ:家具を買う前に「プロのレイアウト診断」を!

いかがでしょうか。デイサービスの設備基準は、「おしゃれさ」や「安さ」よりも、「プライバシー」「安全性」「感染症対策」が最優先されます。

良かれと思って買った家具が役所の基準を満たさず、オープン直前に買い直し……なんていう悲劇を防ぐために、当事務所では以下のサポートを行っています。

  • 役所に提出するレイアウト図面の作成・事前チェック
  • 購入予定の備品リストの適合性チェック
  • 自治体の最新ローカルルールに基づいた役所との折衝

内装工事のハンコを押す前、そして家具の「購入ボタン」を押す前に、ぜひ一度、介護専門の行政書士である当事務所にご相談ください!