いつも当事務所のブログをご覧いただきありがとうございます。 行政書士・社労士の山田です。
近年、多様な働き方が求められる中で、「フレックスタイム制」の導入を検討されている企業様が増えています。従業員のワークライフバランス向上や生産性向上に繋がるとして注目されていますが、その導入にはメリットだけでなくデメリットも存在します。
今回は、フレックスタイム制の導入を検討している企業様に向けて、そのメリット・デメリット、そして成功事例について具体的に解説します。
- 0.1. 1. フレックスタイム制とは?改めておさらい
- 0.2. 2. フレックスタイム制導入のメリット
- 0.3. 従業員のモチベーション・生産性向上
- 0.4. 企業の採用力・定着率向上
- 0.5. 企業の生産性向上とコスト削減
- 0.6. 3. フレックスタイム制導入のデメリットと注意点
- 0.6.1.1. コミュニケーション不足のリスク
- 0.6.1.2. 労働時間把握の困難さ: 従業員ごとに勤務時間が異なるため、正確な労働時間の把握や残業計算が複雑になります。
- 0.6.1.3. 業務の進行管理・評価の難しさ
- 0.6.1.4. 導入時の労使協定の締結と就業規則の変更
- 0.7. 4. フレックスタイム制導入の成功事例
- 0.7.1. 事例1:IT企業A社(従業員数50名)
- 0.7.2. 事例2:コンサルティング企業B社(従業員数30名)
- 0.8. 5. 貴社にとって最適な働き方を
1. フレックスタイム制とは?改めておさらい
フレックスタイム制とは、一定の期間(清算期間)において、労働者が自らの始業・終業時刻を自由に決定できる制度です。これにより、従業員は自身の都合に合わせて働く時間を調整でき、ワークライフバランスの向上や通勤ラッシュの回避などが可能になります。
ただし、全く自由に働けるわけではなく、企業が定める「コアタイム」(必ず勤務しなければならない時間帯)や「フレキシブルタイム」(自由に労働時間を設定できる時間帯)を設定するのが一般的です。
2. フレックスタイム制導入のメリット

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従業員のモチベーション・生産性向上
・ワークライフバランスの実現: 育児や介護、通院、自己啓発など、個々のラ イフスタイルに合わせて勤務時間を調整できるため、従業員の私生活の充実が図られ、精神的な負担が軽減されます。
・通勤ラッシュの回避: ラッシュアワーを避けて通勤できるため、ストレスの軽減や通勤時間の有効活用に繋がります。
・集中力の向上: 自身の集中力が高い時間帯に業務を集中させることで、効率よく仕事を進められます。

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企業の採用力・定着率向上
・多様な人材の確保: 従来の固定時間勤務では働きづらかった層(育児中の親、介護中の従業員など)も働きやすくなるため、採用の間口が広がります。
・離職率の低下: 働きやすい環境を提供することで、従業員のエンゲージメントが高まり、人材の定着に繋がります。

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企業の生産性向上とコスト削減
業務の効率化: 従業員が最も集中できる時間帯に業務を行うことで、全体の生産性向上が期待できます。
残業時間の削減: 労働者が自律的に労働時間を管理することで、不要な残業が減り、残業代の抑制に繋がるケースもあります。
3. フレックスタイム制導入のデメリットと注意点
コミュニケーション不足のリスク
- 対面での連携機会の減少: 従業員がバラバラの時間に出社・退社するため、部署内やチーム内での対面でのコミュニケーション機会が減少する可能性があります。
- 情報共有の遅延: 重要な情報がスムーズに共有されず、業務に支障が出ることも考えられます。
- 【対策】: 定期的なオンラインミーティング、チャットツールやグループウェアの活用、情報共有ルールの徹底が不可欠です。


労働時間把握の困難さ: 従業員ごとに勤務時間が異なるため、正確な労働時間の把握や残業計算が複雑になります。
・労働時間把握の困難さ: 従業員ごとに勤務時間が異なるため、正確な労働時間の把握や残業計算が複雑になります。
・システム導入の必要性: 適切な勤怠管理システムを導入しないと、管理者の負担が大幅に増加します。
【対策】: フレックスタイム制に対応した勤怠管理システムの導入を強く推奨します。勤怠管理の複雑化
業務の進行管理・評価の難しさ
・進捗状況の把握: 従業員の勤務時間が不規則なため、業務の進捗状況が見えにくくなることがあります。
- 公平な評価の難しさ: 勤務時間で評価するのではなく、成果や貢献度で評価する仕組みへの転換が求められます。
- 【対策】: 業務の見える化ツール導入、目標管理制度(MBO)やOKRの導入・徹底、定期的な進捗確認とフィードバックの強化が必要です。


導入時の労使協定の締結と就業規則の変更
フレックスタイム制を導入するためには、労働基準法に基づき、以下の対応が必要です。
- 労使協定の締結: 清算期間、総労働時間、コアタイム・フレキシブルタイム、標準となる1日の労働時間などを定めた労使協定を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。
- 就業規則の変更: 就業規則にもフレックスタイム制に関する規定を明記し、労働者への周知が必要です。
これらの手続きを怠ると、法的なトラブルに発展する可能性もあるため、専門家である社労にご相談いただくことをお勧めします。
4. フレックスタイム制導入の成功事例
ここでは、実際にフレックスタイム制を導入し、効果を上げている企業の事例をご紹介します。
事例1:IT企業A社(従業員数50名)
- 導入背景: 若手エンジニアの定着率向上と、多様な働き方へのニーズに対応するため。
- 導入内容:
- 清算期間:1ヶ月
- コアタイム:11:00~15:00
- フレキシブルタイム:7:00~11:00、15:00~22:00
- 勤怠管理システムを新たに導入し、リアルタイムでの勤怠把握を可能に。
- 週に一度、チーム全体でのオンライン朝礼を実施し、情報共有と進捗確認を徹底。
事例2:コンサルティング企業B社(従業員数30名)
- 導入背景: 営業社員の直行直帰や顧客訪問が多い業務特性に合わせ、より柔軟な働き方を実現するため。
- 導入内容:
- 清算期間:1ヶ月
- コアタイムなしの「スーパーフレックスタイム制」を導入。
- 目標管理制度(MBO)を徹底し、労働時間ではなく成果で評価する仕組みを構築。
- 社内SNSを活用し、情報共有や相談を活発化。
5. 貴社にとって最適な働き方を
フレックスタイム制は、適切に導入・運用することで、従業員にとっても企業にとっても大きなメリットをもたらす可能性を秘めています。しかし、そのためには、自社の業務内容や企業文化に合わせた制度設計と、丁寧な労使間の合意形成が不可欠です。
当事務所では、フレックスタイム制の導入支援はもちろんのこと、就業規則の改定、勤怠管理システム選定のアドバイス、従業員への説明会の実施など、トータルでサポートさせていただきます。
貴社の「働き方改革」の一助となれば幸いです。ご不明な点やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

従業員と共に、成長できる未来を築いていきましょう。

