物価高騰や深刻な人手不足が続く中、従業員の皆様の生活を守り、優秀な人材を確保・定着させるための「賃上げ」は、多くの経営者様にとって最重要課題となっていることと存じます。しかし、「賃上げの必要性は痛感しているが、コスト負担が重く踏み切れない」と悩まれている方も多いのではないでしょうか。
そんな神奈川県内の中小企業の皆様に朗報です。 令和8年度、神奈川県では最低賃金の改定を待たずに賃上げに踏み切る事業者を後押しするため、「神奈川県賃金アップ支援金事業」が新たにスタートします 。
本日は、社会保険労務士の視点から、この支援金の概要と、単なる申請にとどまらない「正しい賃上げの進め方」について詳しく解説いたします。
神奈川県賃金アップ支援金事業とは?
この支援金は、人件費の上昇や物価高騰によるコスト負担に苦しむ中小企業を支援するため、一定額以上の賃金引き上げを行った事業者に対して支給されるものです 。

対象となる事業者と労働者の要件
- 対象事業者: 神奈川県内の中小企業等
- 対象となる労働者(支給対象労働者): 引き上げ前の1時間当たりの賃金が1,499円以下の、以下のいずれかに該当する方
- 正規雇用労働者
- 1週間の所定労働時間が20時間以上の非正規雇用労働者
支援のコースと交付額
引き上げ額に応じて2つのコースが用意されており、対象労働者1人あたりの支援金が支給されます。
募集開始は「令和8年6月上旬」が予定されています 。制度が本格的に始まる前に、社内の賃金状況の把握と計画策定を進めておくことが重要です。
社労士が警鐘!「ただ給料を上げるだけ」に潜むリスク
この支援金は非常に魅力的ですが、賃上げを実行するにあたっては、労務管理のプロフェッショナルとしていくつかご注意いただきたい点があります。

就業規則・賃金規程の整備は万全ですか? 基本給や手当をどのように引き上げるのか、就業規則や賃金規程に正しく反映させる必要があります。規定と実態に齟齬があると、後々労使トラブルの原因となります。
社会保険料の「月額変更届(随時改定)」への対応 基本給などの固定的賃金が変動した場合、社会保険料の等級が変わる可能性があります。適切なタイミングで手続きを行わないと、年金事務所からの指導対象となるおそれがあります。
全体のバランスと評価制度 支援金の対象となる従業員だけ賃金を上げると、他の従業員から不満が出る可能性があります。社内全体の給与バランスを見直し、納得感のある評価制度・賃金制度を再構築する良い機会と捉えるべきです。
皆様の「攻めの労務管理」をサポートします
支援金の申請手続きはもちろんのこと、当事務所では社会保険労務士としての強みを最大限に活かし、以下のようなサポートをワンストップでご提供いたします。
攻めの労務管理
最適な賃上げシミュレーションの実施(人件費増と支援金のバランス計算)
就業規則・賃金規程の改定サポート
社会保険・労働保険の各種手続き代行
多様な働き方の推進支援(例:県の「かながわサポートケア企業」認証取得に向けた、介護離職防止の規程整備など )
さらに一歩踏み込んで!社労士が教える「賃上げ」を会社の力に変える3つのポイント
本支援金を単なる「コスト補填」で終わらせず、企業の成長に直結させるためには、労務管理の視点を持った戦略的なアプローチが不可欠です 。以下のポイントを意識して制度を活用しましょう。
1. 最低賃金改定を見据えた「先行投資」としての賃上げ 毎年秋には最低賃金の引き上げが行われる傾向にあります 。最低賃金が上がってから「仕方なく」給与を引き上げるのではなく、本支援金を活用して「先行して」賃上げを実行することで、従業員のモチベーション向上や離職防止に大きく貢献します 。また、求人活動においても「賃上げに積極的な企業」として強力なアピールポイントになります。
2. パート・アルバイト層の処遇改善と「年収の壁」対策 今回の支援金は、「1週間の所定労働時間が20時間以上の非正規雇用労働者」も対象に含まれています 。パートタイマーの方の時給を50円、あるいは100円引き上げることは、人材定着に直結する素晴らしい施策です 。 しかし、ここで注意しなければならないのが「年収の壁(106万円・130万円)」です。時給が上がったことで社会保険の扶養から外れてしまうことを懸念し、従業員が労働時間を減らしてしまっては本末転倒です。手取り額のシミュレーションや労働時間の適正な管理など、社労士によるきめ細やかなアドバイスが必須となる部分です。
3. 賃上げを機に「働きやすい職場」としてのブランド力を高める 賃金の見直しと同時に、社内の労務環境全体を見直してみませんか? 例えば、神奈川県では仕事と介護の両立を支援する優良企業を認証する「かながわサポートケア企業」制度を実施しています 。介護休業等の社内制度を明確にし、従業員をサポートする体制を整えることで県の認証を受けることができ、企業のブランド力向上や入札参加資格での優遇措置(加点)など、様々なメリットを得ることができます 。
賃金アップをきっかけとした「攻めの労務環境改善」も、当事務所が強力にバックアップいたします。
「賃上げ」は、企業の未来への投資です。この支援金を最大限に活用し、従業員がいきいきと働ける職場環境を共に作っていきませんか?
「自社は対象になるのか?」「どのくらい給与を上げれば一番効果的か?」など、ご不明な点がございましたら、まずは当事務所までお気軽にご相談ください。専門家として、御社の実情に合わせた最適なプランをご提案いたします。


