横浜市でデイサービス(地域密着型通所介護)の開業を目指す皆様、前回は「物件探しの罠」についてお話ししました。無事に適法な物件が見つかったら、次に立ちはだかるのが「人員基準(スタッフの配置)」という巨大なパズルです。

指定申請をクリアするための「法律上の配置ルール(行政書士の視点)」と、スタッフを違法な長時間労働から守る「労務管理のルール(社労士の視点)」。この2つを同時に満たすシフト表を作らなければ、開業はできません。

今回は、実際に当事務所へご相談いただいた架空のケースをもとに、横浜市における「兼務」のルールと、プロのシフト作成術を解説します!

熱血社長とベテラン介護士の挑戦

介護業界の将来性に惚れ込み、異業種からデイサービス立ち上げを決意したA社長(介護資格なし)。現場の要として、知り合いのベテラン介護福祉士であるBさんを引き抜きました。

A社長は自信満々にこう言います。 「先生!初期費用を抑えたいので、Bさんにはウチの『管理者』と『介護職員』の両方を、週40時間フルで兼務してもらいます! これで人件費はバッチリです!」

さて、このA社長の完璧に見えるシフト表、横浜市の窓口に提出したらどうなるでしょうか?

…残念ながら、「一発アウト(指導対象)」になってしまいます。

行政書士の視点:「管理者」の兼務に潜む大きな罠

横浜市の手引き(ルールブック)を見ると、デイサービスのトップである「管理者」には、「常勤・専ら職務に従事する者(フルタイムで、管理者の仕事だけをすること)」という大原則があります 。

ただし、これでは人件費で経営が成り立たないため、特例として「事業所の管理業務に支障がない場合」に限り、同じ事業所内の他の職務(介護職員など)との兼務が認められています 。

ここがポイントです。「管理業務に支障がない」ということは、「100%すべての時間を現場の介護職員として働いていたら、いつシフトを作ったり、施設全体の管理をするんですか?」と役所に突っ込まれてしまうのです 。 他の職務と兼務する場合でも、勤務日は1日最低45分(0.75時間)以上は、管理者としての業務を行う時間を確保する目安が示されています

行政書士は、この兼務パズルを解くために「時間を分割」します。

例えば、Bさんの週40時間を「管理者として週10時間(事務作業など)+ 介護職員として週30時間(現場)」といった形でシフト表(勤務形態一覧表)に記載し、合法的に人件費を抑える証明をします。

社労士の視点:休憩時間の「超・特例ルール」

さて、配置のパズルが解けたら、次は「労務管理」です。

労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は1時間の休憩を与えなければなりません。

「えっ!スタッフが休憩に入ったら、その時間は人員基準(介護職員の配置人数)を満たせなくなって、違法営業になりませんか?」

心配ご無用です! ここにデイサービス特有の超・特例ルールがあります。 横浜市の手引きでは、労働基準法で最低限確保すべきとされている程度の休憩時間であれば、「サービス提供時間内に限り、勤務延べ時間数に含めて(働いているとみなして)差し支えない」とされています 。 ただし、介護職員全員が一斉に休憩を取ってサービスが手薄にならないよう、交代で休憩を取るなどの配慮が必要です 。

このように、指定基準(行政書士)と労働基準法(社労士)の両方の視点を持っていなければ、本当に安全で働きやすいデイサービスは作れません。

許認可から労務管理まで、ワンストップでサポート!

デイサービスの立ち上げは、指定申請を通せば終わりではありません。オープン後のスタッフの雇用契約、シフト管理、そして「処遇改善加算」や「助成金」の獲得まで、やるべきことは山積みです。

当事務所は「行政書士×社会保険労務士」のダブルライセンスを活かし、横浜市のローカルルールに基づいた確実な「指定申請」から、オープン後の「労務管理・助成金サポート」まで、窓口一つで全て伴走いたします! 「この資格でこの配置はアリ?」と悩んだら、迷わずご相談ください。

次回は、小規模デイサービスで最も頭を悩ませる「看護職員の確保と、病院連携の特例」について解説します。