不動産業(宅地建物取引業)を新しく始めるためには、行政機関から「宅建業免許」を取得する必要があります。 この免許申請は準備する書類が多く、要件も厳格に定められています。 開業を志す経営者の方々がまず直面するのが、この「免許」という壁です。 特に経営者ご自身が資格をお持ちでない場合、有資格者を雇い入れることになりますが、そこには、免許の取得と並行して、適切な「雇用(労務管理)」というもう一つの壁が存在します。
この記事では、宅建業免許を取得するための基本的な条件と、専任の宅建士を雇って起業する際の注意点について、専門家の視点から詳しく解説します。
宅建業免許を取得するための大きな条件
宅建業免許を取得するためには、主に3つの大きな条件をクリアする必要があります。
1つ目は、「独立した事務所」があることです。
これは、テント張りやホテルの一室などは認められず、継続的に業務を行える独立した物理的な空間が必要です。
自宅の一部を事務所にする場合や、他社と同じフロアを共有する場合は、パーテーション等で明確に区切られ、独立した出入り口があるなどの厳しい条件をクリアしなければなりません。
2つ目は、「欠格事由に該当しないこと」です。
過去に免許を取り消されてから5年を経過していない場合や、一定の犯罪歴がある場合などは、免許を受けることができません。
2つ目は、「専任の宅地建物取引士」が常勤していることです。
一つの事務所において、業務に従事する人「5人につき1人以上」の割合で、専任の宅建士を設置しなければなりません。
この「専任」とは、その事務所に常勤し、専ら宅建業の業務に従事できる状態を指します。
他社の従業員との掛け持ちや、名前を借りるだけの「名義貸し」は原則として認められず、厳格に審査されます。

資格取得か「雇用」か、不動産業開業への選択肢
不動産業を始めるにあたって、まずは社長ご自身が宅建士の資格を取るべきか、それとも有資格者を最初から雇って開業を急ぐべきかで悩まれる方が非常に多いと予測されます。
有資格者を「雇って」免許を取得する場合、利点と欠点があります。 まず、利点としては、経営者自身が難関資格である宅建試験に合格するための学習期間を省き、すぐに事業をスタートさせることができることが挙げられます。 また、実務経験のある宅建士を雇えば、即戦力として日々の業務や契約手続きをスムーズに進行できることも大きなメリットです。 一方で、欠点としては、毎月の給与や社会保険料などの固定費(人件費)が、開業当初から重くのしかかることが挙げられます。 さらに、万が一、その宅建士が退職してしまった場合、2週間以内に新たな専任の宅建士を補充できなければ、法律違反となり営業を停止しなければならないという大きなリスクも伴います。
宅建士を雇って免許を取得する場合の注意点と労務管理の重要性
宅建士を雇うということは、会社が「使用者(雇い主)」になるということです。
宅建業免許の申請や、宅建士の専任登録の過程では、その有資格者が本当にその会社で常勤しているか、他社と掛け持ちをしていないかが厳格に確認されます。
専任の宅建士は、一つの事務所に「常勤」し、専ら宅建業の業務に従事することが法律で求められています。 そのため、会社側としては名義を借りるだけでなく、適切な労働時間の設定や残業代の支払いなど、実態の伴った適正な労務管理を行うことが不可欠です。

この記事の詳細な説明の要点は以下の通りです。
まとめ
宅建業免許の取得には、「独立した事務所」「欠格事由に該当しないこと」「専任の宅建士の設置」の3つが必須条件です。
専任の宅建士を雇うことで事業を早期に開始できる利点がある一方、人件費の負担や退職時の営業停止リスクという欠点もあります。
宅建士を雇用する場合、免許申請の前提として、社会保険への加入や適切な労働時間管理といった「労務管理」の整備が不可欠です。
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